交通事故に遭った際、「弁護士に依頼すれば賠償金が大幅に増える!」という広告をよく見かけますよね。
しかしその内容、本当は事実ではない部分もあります。

今回は、「賠償金が増える理由は何なのか?」を冷静に解説し、ネットでよく見かける誤解についても詳しく説明します。

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 「弁護士が入ると大幅に賠償金が増える」は半分ウソ「後遺障害に認定されると大幅に賠償金が増える」が正解

確かに、交通事故の被害者が弁護士に依頼すると、保険会社から提示された金額より多くの賠償金を受け取れるケースはあります。
これはいわゆる「弁護士基準」(裁判基準)での交渉が可能になるためです。

ただ、この基準での示談は、ぶっちゃけると弁護士でなく被害者本人であっても上げられることがほとんどです。

シンプルにいうと、弁護士で上がるとされている金額はあくまで基準の違いによる「差額」であり、皆さんがネットの情報等で理解している大幅増額の事例は、「後遺障害の認定」によるものです。

弁護士(裁判)基準だけで賠償金が大幅に増えることない

交通事故の損害賠償は主に以下のものに分かれます。

➀ 通院慰謝料(※場合により休業損害)

② 後遺障害慰謝料(後遺障害が認定された場合のみ請求可)
 

③ 逸失利益(後遺障害が認定された場合のみ請求可)

後遺障害の認定なく、弁護士基準で増額が見込めるのは➀のみです。

②の「後遺障害慰謝料」③の「逸失利益」は、後遺障害に認定されなければそもそも請求権すら発生しないもので、弁護士さんが入っても0円のままです。

つまり、よくネットにでてくる賠償額の大幅増額の理由は、「弁護士が入ったから」ではなく、「後遺障害の認定があったから大幅に増えた」というのが本当の理由なんです。

誤解を招く弁護士事務所ホームページのカラクリ

多くの弁護士事務所のホームページでは、
「弁護士が介入して賠償金が5倍になりました!」
「当初提示額100万円→最終的に500万円!」

といった事例が掲載されています。

しかしよく見ると、これらのケースはいずれも後遺障害等級が認定された案件だけがピックアップされています。


つまり、最初の提示額には後遺障害の賠償金は含まれておらず、後遺障害の認定が取れた事案だけピックアップしているにすぎません。

弁護士が介入したから弁護士基準により、何倍にも賠償金が増えたかのように見えますが、それは誤解を生む表示方法であり、実際のところは、「後遺障害に認定されたから大幅増額につながった」のあり、基準により上がったわけではありません。

後遺障害の認定がなければ弁護士でも金額の上昇は少額であり、報酬でマイナスになることも

たとえ優秀な弁護士が交渉しても、後遺障害が認められなければ、後遺障害の慰謝料も逸失利益も請求できません=0円です。

 その場合、賠償金の増額は慰謝料増額でせいぜい10万円〜20万円程度にとどまることも多いのです。

つまり、この増額分が報酬額より下であれば、依頼した意味がないということになります。

後遺障害の認定なら、行政書士への依頼が先

後遺障害の認定は、書類準備能力で差がつく世界。行政書士事務所への依頼が先です。ここを間違えると、大きな損になります。認定を獲得してから弁護士さんに依頼する順番がもっとも成果のでる方法です。

後遺障害において行政書士と弁護士の役割の違いは以下の記事で解説しています。

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重要なのは「後遺障害の認定」、そしてその認定率

  • 弁護士が入ると弁護士基準により10~20万の「少額の増額」はよくあるが、200万~数千万の「大幅な増額」は後遺障害認定が絶対条件
  • ホームページで紹介されている「大きな成功例」は、後遺障害の認定がたまたま取れた事案だけを掲載していること
  • つまり、後遺障害認定がカギであり、そのために正しく申請・立証することこそが賠償額を左右する最大の要因

この記事の執筆行政書士

石澤 拓也(日本行政書士会連合会 登録番号:第12101578号)

立命館大学法学部卒。交通事故の後遺障害認定・異議申立てに完全特化した専門事務所の代表です。業界屈指の認定率72%を達成。認定されなければ報酬0円(着手金・相談料0円、隠れ費用一切なし)という費用リスクゼロの方針を好評頂いています。

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